難民探偵

「俺が犯人だと思った奴は、大抵犯人なんだよ」



就職できなかった女性が、叔父の家にやっかいになり、その叔父の友人が殺人事件に巻き込まれる。
でもその叔父の友人は、ネット難民でありながらも「探偵」で……。


探偵とタイトルについてたので期待したけど、やっぱり西尾維新でしたー。
色んな意味でクビキリサイクルをちょっと地味にした感じというかなんというか。
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屍者の帝国

奇蹟の合作



プロットと試し書きを残して旅立った伊藤計劃の作品を円城塔が引き継いだ小説。


十九世紀末、屍者を復活させ道具として操る技術が発展した世界でのお話。
主人公であるワトソンは、ひょんなことから大学の教授であるジャック・セワードと、さらにその師であるエイブラハム・ヴァン・ヘルシングから『M』という人物を紹介され、政府の諜報機関に引き込まれる。
Mからワトソンへの依頼は、アフガニスタン北方にある臣民が屍者のみで構成される屍者の帝国」を調査することであった。


そこから繰り広げられる、SFとういかエンタメというか。重い感じはするけれども基本は、娯楽小説なんで楽しく読めます。
特徴としては、シャーロックホームズシリーズや、、ドラキュラ伯爵、カラマーゾフの兄弟などの登場人物や実在の人物・団体がもりもり出てくる所でしょうか。読む人間の教養力が試されます。知らなくても十分楽しいが知ってた方がより良いかも。


内容的には、最終的にいつもと同じ意識とか魂の話に落ち着く。3回連続これかって思ったけど、今回はまぁ違う人かいてるから仕方ないね。
内容的に、作者2人というか、円城塔の想いが込められまくった感じになっています。


あと、最後のオチはちょっと良かった。まさかこの男がきてくれるとはッッ!!

この部屋で君と 金メダル男

他人と暮らすと何かが起こる!?



一つ屋根の下アンソロジー。
なんとなく、同棲カップルの話ばかりかなーと思ってたら、そんなこと無かったぜ。
各話事にちょこちょこと。

「それでは二人組を作ってください」/朝井リョウ
姉妹で暮らしているが姉が結婚で出ていっちゃう。
妹は、姉の代わりにルームシェアしてくれる人を探して奔走する。しかし、彼女は表題の言葉に分からされてきた側の人間。
クールでちょっとダウナーな開幕でした。

「隣の空も青い」/飛鳥井千砂
韓国に出張にきた若いサラリーマンが主人公。ツイン?のお部屋で、同棲?相手は、年上で無口な技術職員。
毎晩飲みに誘われる主人公とそれを断る技術職員。徐々に溝が開いていくが……。
出張先で上司と2人という(個人的には)変化球。

「ジャンピングニー」/越谷オサム
主人公は漫画家の卵、同棲相手は彼氏で若手プロレスラー。
漫画の賞をとって東京に出るもぱっとせず、アシスタントしながら自分の漫画を描いている。
一方、彼は今日の試合でうまくやれば事務所からのプッシュが約束されていたのだが……。
こういうのが読みたかったんだよ! こう、なんだ夢を追う若者?の同棲系のが読みたかったんだ!

「女子的生活」/坂木司
ルームシェアしてた子に彼氏が出来たので新しいルームメイトを募集中の主人公。
そんなある日、高校の時に多少は仲良かった男が押しかけてきて……。
文体が鼻についたので多少は想定していた。でも、こういうの好き。

「鳥かごの中身」/徳永圭
若いサラリーマンが主人公。となりの家の少女を自分の家に住まわせる話。
と言っても、変な意味じゃ無くて少女のお母さんがいなくなってしまったから。
彼女の傷をいやしつつ、主人公も少し成長するみたいな。他がポップだったり尖ったりしてるので埋没しちゃった感じを受けた。

「十八階のよく飛ぶ神様」/似鳥鶏
家に巨大なムカデが襲撃してきた。そしてそれと戦う少女の姿をした神様。
ムカデから主人公を守るという神様との奇妙な共同生活。
唯一のファンタジーかつバトル描写がある作品。そのせいか、ちょっとライトノベルみたいな感じかな。

「月の沙漠を」/三上延
新婚の夫婦の、妻の方を描く。ポイントは昭和2年という点。
今まで平屋で暮らしてた女性が最新の団地に戸惑う話。そもそも、この夫婦が結婚することになったのには深い訳があって……。
ちょっと固い文体だけど、とてもしっとりしてて上品な感じ。個人的にはこのアンソロジーでのベスト。

「冷やし中華にマヨネーズ」/吉川トリコ
13年暮らしたカップルの成れの果て。既にカップルではなく、互いにパートナーがいるのだが、共同生活は続けている。
いつまでもそんな生活が続くと思っていたのだが……。
最後に相応しい作品。ちょっと湿り気のある話なのだが、主人公の気丈さと男の情けなさが緩和してくれる。最後はどこか爽やかすらである。



懲りない、へこたれない、あきらめない!



ウッチャンの書いた作品です。今度映画にもやるそうな。


小学校3年生の時にかけっこでとった1等の金メダルを貰って以来、金メダルを得ることのみを追求し続けた男の挑戦と挫折の物語。
小学校時代は良かったが、中学以降は栄光と挫折を繰り返し、やがて上京。東京でも挑戦と挫折を繰り広げる。
そんな男の半生記。

常に挑戦していく男の物語ではあるが、ちょこちょこ内村本人のことが反映されていた気がする。
時代ごとに当時の文化・流行りやヒット曲などがちりばめられているので、内村さんと同世代の方はノスタルジーな雰囲気を味わえることでしょう。
あとこれは、連載されていたからのなのでしょうか。初期のキャラクターが後半にひょこひょこ顔を出すのはいいですね。人生みたい。

しかし、面白いには面白いけど、こういうのはコントで見たなと思いました。
元がコントで映画、小説なのでやっぱ映像の方がいいのかなぁ。

The Indifference Engine

さあ、行進しよう。ぼくらは歩く。戦争はまだ、終わっていない――



伊藤計劃氏の短編集。
虐殺器官やハーモニーと同等のテーマを根幹にもちつつ、悲しい子供たちの戦いを描く表題作の「The Indifference Engine」
虐殺器官の前身? 「Hevenscape」
ひたすらシュールな「セカイ、蛮族、ぼく。」
意識とは何かを問う「From the Nothing, with Love」
そして遺作となった「屍者の帝国」の冒頭部分
それに2作ほど漫画を収録。

どれも完成度は高いが、特「From the Nothing, with Love」が好き。構成はありきたりではあるが、それをこの短さと密度でやってのけるのが素晴らしい。


あと、虐殺器官(黒)、ハーモニー(白)の間に本書を挟むように並べると美しい。

ハーモニー

少女たちが目撃した、人類の最終局面。

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)
(2014/08/08)
伊藤計劃

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世界規模の狂乱を乗り越えて、人々は高度な福祉社会を築き上げていた。
酒もダメ、煙草もダメ。カフェインは飲んでもいいけど、あんまり良い嗜好品ではない様子。
大人はWatchMeと呼ばれる恒常的体内監視システムをインストールし、健康状態を常に管理されているため、病気に陥ることはない。

そんな世界で3人の少女達が自殺しようとしていた。
機械に、世界に身体を渡す前に、自分が自分であるうちに。
けれど、首謀者のみが自殺に成功し、残りの2人は生き延びてしまう。


それから十数年。生き延びた方の女の子、トァンは、WHO螺旋監察事務局に勤め、WatchMeを誤魔化しながら、違法入手した酒や煙草を楽しんでいた、しかし、上司に見つかり故郷である日本に送り返されることになる。
渋々と日本で戻った先で、生き残ったもう1人の女の子、キアンと食事していたのだが、食事中にキアンは突然自殺してしまう。
そして、そのキアンの自殺と同時刻。世界では6千人もの人が自殺を図り、3千人ほどの人がそれに成功していたのであった。



倫理感あふれるユートピアを舞台にした、世界的混乱の再来。
これ単体で読んでもいいけれど、やはり虐殺器官を先に読んだ方がより面白いはず。

虐殺器官は、脳に影響を与え、意識の指向性を狂わすようなものが出てきましたが、今回も似たようなものが主軸となっている。
意識とは、ってのを突き詰めていった果てのお話。


ラスボスの人に関しては、もうちょっと思考の変遷を濃く描いてほしかったな。
出生や途中の体験も総合して考えると、なんなくは分かるけど、もう一声って感じ。


凄く面白かったですが、やはり映像になるとしんどそうな描写があるので映画は観に行かないと思います。

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