満願

磨かれた文体、完璧な技巧。
至高のエンターテイメント!



短編集。6話収録。
基本的にミステリーだが、多彩な見せ方により全ての作品で違う空気を感じる。
作品間に関連性はないが、ある共通項を持って書かれている、ような気がする。
方向性としては、儚い羊たちの祝宴が近いか。

作品ごとに


「夜警」
ある警察官の回顧録。
その警察官の部下が殉職した。暴漢がいるとの通報に駆け付け、5発発砲するも、暴漢から刺されて互いに死亡した。
上司から見た殉職した警官の人となりから始まり、事件当日の様子を振り返る。
そして、殉職した警官の兄から見た弟の人となりも合わさり、見えてきたのは……。

青春ミステリが大人になった感じか。警察の事を凄く調べたんだろうな。


「死人宿」
数年前に失踪した彼女が山奥の旅館で仲人をしていると聞き、駆け付けた主人公。
その宿は、裏手に火山ガスがたまりやすい窪地があり自殺にうってつけであった。
よりを戻したい主人公であるが、彼女から相談されたのは、温泉の脱衣所に忘れられていた「遺書」であった。

設定と謎解き部分が完全に乖離しているのが気になる。そういうもんだろうか。


「柘榴」
美人の女性がある男と結婚した。娘も2人生まれたが、父親は職にもつかずにふらふらしていた。
娘たちが中学にあがること、その両親は離婚した。
そこで親権を争うことになったのだが……。

女性視点なので非常に女性的というか、女性受けがよさそうというか。


「万灯」
主人公は海外在中の商社マン。バングラディッシュにてガス資源を採掘し、安定供給を行うプロジェクトを任されている。
そのため、活動拠点としてとある村を選定したのだが、村のリーダーの1人から猛反対を受ける。
しかし、村のリーダーたちも1枚岩ではなく……。

途中までは、サラリーマン奮闘記。後半でガラリと雰囲気が変わる。
今作の個人的ベスト。


「関守」
主人公はフリーライター。ある都市伝説の記事をかくために、伊豆半島の峠に取材にやってきた。
その峠では、同じ曲がり角で何人も亡くなっているらしい。
最寄りのドライブインには、老婆がおり、この事故にあった人たちの様子をよ覚えていた。
老婆の話を聞いていくうちに……。

これはもうミステリというかホラーというか。こわいこわい。


「満願」
弁護士である主人公が駆け出しのころに担当した事件を振り返る。
容疑者はその弁護士が学生時代にお世話になっていた下宿先の奥さんであり、よく知った人間であった。
下宿時代を振り返りながら、事件当時のことも思い出す。

「夜警」と似た構成であるが、こちらのほうが幾分か華やか。
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家庭用事件

こんなはずじゃなかった!?




いつの間にか装丁が変わってました。さよならtoi8。
今回は短編です。お話ごとにさっくりと。

・不正指令電磁的なんとか
理由あって冬に出るの直前位の話。まだ伊神さんが学校にいたり、葉山くんがかわいそうだったり。
トリックは、はーそういう事できるんだなーって感じ。知らない人は一生分からない系。

・的を外れる矢の如く
弓道部で起こった不思議な事件。的枠が盗まれてしまったが、そんなに高い品物でもないし、そもそも何の目的で……?
今巻の秋野さんはここだけです。

・家庭用事件
葉山家で起こった停電事件。まぁ、ブレーカーが落ちていただけだったのだが。
最後の、「優しくもないし健気でもない」を読んでから読むとまた色々見えてくる。

・お届け先には不思議を添えて
これ、なんかのオムニバスに収録されてたやつですね。読んだことありました。
辻さんもこれからちょいちょい出てくるのかな。
これも全部読んでから読むと面白い。

・優しくもないし健気でもない
色々と衝撃の新事実が明かされる一作。
ミステリというか、もっと別のところに焦点が当てられている。


最後の時点で冬という事は、柳瀬さんの卒業が控えているのだが、どこで区切るのであろうか。
できれば葉山くんの卒業まで読みたいな。

リカーシブル

切ない。痛い。青春ミステリ。




とある地方に引っ越してきた母子家庭のの長女が主人公。
新しい学校に通いながら見えてくるのは、停滞した町の仄暗い希望である高速道路誘致と不思議な伝承であった。
そんな中で、主人公の弟が奇妙な事を言い始める。さらには、その言動をなぞるかのように事件が起こり始め……。


地方の閉塞感、村社会の横の繋がりとそこから外れる者への陰湿さ、あとは女子社会の微妙な空気感、そんな雰囲気を前面に押し出しつつ送られるミステリ。
中学1年生にしては聡すぎる女の子視点で進む。色んなものをクールに見ていく彼女ではあるが、のちのち明かされる彼女の状態を鑑みると仕方ないんでしょうね。そして、それ故の不安定さもちょこちょこある。
その辺があるからこそのラストシーンなのかな。



ミステリ部分は、なんか色々と粗というか盛大な突っ込みどころ々あるような気がします。
全体に漂うどんよりとした雰囲気とその中でなんとか立ち回る主人公を読む小説なんだと思います。

迷いアルパカ拾いました

疾走した女性の行方を握る鍵はアルパカ? ハムスター?
それとも?!

迷いアルパカ拾いました (文春文庫)迷いアルパカ拾いました (文春文庫)
(2014/07/10)
似鳥 鶏

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動物園ミステリー3作目です。


桃本・七森が帰宅しようと動物園を出ると、道路にアルパカが出現。何故こんなところに? と思いながらも捕獲を行う。

その一方で、七森の友人が行方不明になっていた。どこに失踪したかを調べるために友達の家に訪れると、鍵は開いており、ハムスターだけが取り残された状態であった。部屋を捜索すると、彼女の手帳が見つかる。そこには友達の日記が記されており、何らかの事件に巻き込まれていたことがわかる。そして、何故か手帳には楓ヶ丘動物園、主人公たちの勤める動物園のパンフレットが挟まれていたのだった。



2つの事件が進行し、最後に真相が明らかになるんですが、まぁ、何とも言えない現代社会の闇。
しかし、ここの動物園の職員は荒事ばっかしてる印象だなぁ。


あと、ミステリというよりも2時間刑事ドラマ系サスペンスに近いような気もしました。

つれづれ、北野坂探偵舎 ゴーストフィクション

見つけて探偵さん、館に隠れた嘘を。

つれづれ、北野坂探偵舎 ゴーストフィクション (角川文庫)つれづれ、北野坂探偵舎 ゴーストフィクション (角川文庫)
(2014/04/08)
河野 裕

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前作、前々作の表紙がBLくさかったせいか、今回は小暮井も登場。
作中でイチョウの木を見て、「秋には葉が落ちて大変です」という記述があったにも関わらず表紙は秋のようです。


前作で解き放たれた雨坂ノゾミが登場。なぜか小暮井に憑りつく。
そんな異変の中、佐々並はとある小説家から依頼を受ける。その内容は、館のどこかにあるという姉が書いた絵を探してほしいというもの。
奇しくもその館とは、過去に起こった事故の際に訪れるはずの館だった。

今回は無事に館に着き、絵を探そうとするも、その小説家には別の悩みもあって……?



今回はかつて館で起こった出来事と館に住んでいた人たちの関係を整理していくというお話。
他の小説家が登場することで、続のぶっちぎり感が増したような気がする。


紫の指に関してもぼんやり情報が入ってきて、少しづつ縦のお話が盛り上がってきそうな感じか。

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